アルベール・カミュ未完小説をモチーフに、尊厳と誇りと家族の物語を描く、カンパニーデラシネラ新作公演『the sun』。
アルベール・カミュのエッセイに、こんなくだりがあります。「私は所有ということを知らない…(中略)…あり余りはじめるやいなや消滅するあの自由に貪欲なのだ…(中略)…私はなにも羨望しない。それは私の権利である」そしてカミュは「太陽は私に、歴史がすべてではないことを教えてくれた」と言います。
カミュの反語的姿勢を考えると、何周もした「羨望しない」と感じますが、僕自身、持たないことからくる自由、ということに実感があります。金銭面だけではない所有、例えば際限なく求める情報、際限なく求める快適さ、人と横並びたい心境、そしてそこから離れるには?立ち止まることと沈黙にヒントがあると思っています。一度止まる。
カミュの母親は、ろう者だったそうです。家族を描くカミュの視線。その心に通底する信念。カミュはいつか書く作品の中心に据えたいこととして次をあげます。「一人の母親の素晴らしい沈黙と、この沈黙に釣合う愛や正義を見出すための一人の男の努力」
今回のデラシネラ新作『the sun』で描くのは、アルベール・カミュの自伝と言われる未完小説をモチーフとした、尊厳と誇りと家族についての物語です。
(アルベール・カミュの文章抜粋は全て『裏と表(訳:高畠正明)』より)
演出・出演は小野寺修二、出演は數見陽子、丹野武蔵、大西彩瑛、鈴鹿通儀、藤田桃子。
桂小すみによる、初めて三味線の生演奏での公演となる。
カンパニーデラシネラ新作公演『the sun』
2024年3月22日(金)、23日(土)シアタートラム
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