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クリスマス・シーズンの風物詩! Kバレエ カンパニー『くるみ割り人形』開幕

熊川哲也が描くファンタジックなステージをスター・ダンサー総出演で華やかに



 熊川哲也率いるKバレエ カンパニーが、12 月1日より東京・大阪で『くるみ割り人形』を上演。クリスマス・シーズンの風物詩として例年足を運ぶファンも多く、同団のレパートリーの中でも最多上演を重ねてきた人気作だ。開幕に先駆けゲネプロに潜入、その魅力と見どころをリポートしたい。



 芸術監督・熊川哲也の演出・振付により、2005年に新制作を果たしたKバレエ カンパニーの『くるみ割り人形』。バージョンにより演出が大きく異なる『くるみ割り人形』だが、熊川はE.T.A.ホフマンの原作に流れる謎めいた風合いをもとに独自の物語を創出。

 ファンタジックななかにもリアリティを追求し、個々のキャラクターとその背景を明確にすることで作品世界に生き生きとした息吹を注ぎ込んでいる。


 舞台は19世紀はじめの人形の国。長い間人形たちと領地争いを繰り広げてきたねずみの王様は、人形の国の姫・マリーをねずみに、婚約者の近衛兵隊長をくるみ割り人形に変えてしまう。

 魔法を解くには世界一硬いクラカトゥクくるみを割らねばならず、それができるのは純真無垢な心を持つ人間だけ。クリスマス・イブの夜、ドロッセルマイヤーはその唯一無二の人物である少女クララを見つけ出し、冒険の旅へと誘っていくーー。


 主役のマリー姫は熊川版のオリジナルキャラクターで、クララの憧れのヒロインとして物語を率いる。

 技量に加えて風格が求められる役だが、ゲネでマリー姫を踊った日髙世菜は優美かつ情感豊かな演技で圧倒的なオーラを発揮。パートナーのくるみ割り人形/王子を踊った髙橋裕哉は今年10月にプリンシパル昇格を果たした上り調子のダンサーで、熊川版の高度な技も難なくこなす。

 昨今は両者のペアが定着した感があるが、ともに長身に長い手足と恵まれたスタイルに豊富な海外経験を併せ持ち、ダイナミズムに満ちたステージで目を奪う。

 クララ役の吉田早織は持ち前の愛らしさを存分に振りまき純粋無垢なキャラクターを体現。ドロッセルマイヤーには本役をあたり役とする杉野慧が扮し、包容力とミステリアスな気配を湛え存在感を示した。


 粉雪の精が舞い踊る雪の国のシーンは1幕のクライマックスで、熊川版の見せ場のひとつ。ゲネでは別日にマリー姫を踊る小林美奈が雪の女王役、プリンシパルの堀内將平が雪の王役で出演。スピーディーな足捌きに回転やジャンプととりわけ難度が高い役どころだが、いずれもその確かな実力で雪の煌めきを軽やかに表現し、降り積もる粉雪を背景に幻想的なシーンを生み出していた。


 配役はどこまでも贅沢で、回替わりでトップダンサーが主演を務める。

マリー姫は4キャストで、うち今年Kバレエ カンパニーに移籍入団した日髙と飯島望未のふたりが初役で出演。飯島はコケティッシュな魅力でファンが多く、そのスター性をもってこの大役を担う。

 さらに高い技量と女性らしさを兼ね備え幅広い役をレパートリーに持つ小林美奈に、儚げな持ち味で熊川にフェアリータイプといわしめる成田紗弥と、個性を違えるダンサーが演じる各々のマリー像も見どころだ。


 くるみ割り人形/王子役は5キャストで、髙橋のほか、盤石のテクニックを誇るプリンシパルの山本雅也、王子役で定評ある栗山廉に加え、石橋奨也と吉田周平が初役に挑戦。石橋はこれまでドロッセルマイヤーをはじめキャラクターの強い役を多く演じてきたが、熊川が求める凛々しくもファンタジックな王子像をどう表現するか注目したい。

 吉田は海外のバレエ団を経て昨年ソリスト入団し、今年秋早くもファースト・ソリストに昇格した期待の星で、本作で主演デビューを果たす。

 新進スターも続々登場し、カンパニーの層の厚さを物語る。なかでもクララ役の吉田早織と雪の女王を踊る岩井優花は来年3月に控えた『ロミオとジュリエット』にジュリエット役で出演が予定され、今後の活躍から目が離せない。


Kバレエ カンパニー『くるみ割り人形』は、2021年12月1日(水)~5日(日)Bunkamuraオーチャードホール、10日(金)大阪フェスティバルホールで上演。ロビーにはポワントを飾った巨大ツリーや“マウスキング”のマスクも特別展示。劇場を夢いっぱいの世界に染め上げ、クリスマス・シーズンのステージを華やかに贈る。

(取材・文 小野寺悦子)






Kバレエカンパニー『くるみ割り人形』

[東京]2021年12月1日(水)~5日(日)Bunkamuraオーチャードホール

[大阪]2021年12月10日(金)フェスティバルホール

https://www.k-ballet.co.jp/contents/2021nutcracker



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