― ロックバレエ2023『ROCK BALLE with QUEEN』の
新キャストとして出演されます。初演の映像をご覧になってどうでしたか?
まず、楽しそうだなと思いました。
バレエダンサーがこういう世界観で踊る機会があまりないので。
じつは、矢上恵子先生の振付でバルナのコンクールを受けた
ことがあります。圭吾さんは教え子なので、縁があるのかも。
― 出演依頼を受けた理由は?
圭吾さんの振付で踊ってみたかった。違うことをやってみたい。
色々なことに挑戦してみたい、という気持ちです。
―ロック音楽はお好きですか?
X JAPANはよく聴きます。L'Arc〜en 〜Ciel(ラルク アン シエル)
とかも昔よく聴いていた。
― QUEENの音楽についてはどうですか?
ソロで踊られる「The Show Must Go On」は特に有名ですが、
改めていかがですか?
今はあまり音楽を味わっている余裕がなくて(笑)。
振りと音のカウントを高めて、早く身体に入れたいですね。
― ロックバレエ2023のキャストで、共演したことのあるダンサーは?
『白鳥の湖』で唯さんと2018年に共演しました。
唯さんは黒鳥で僕が王子役でした。僕は滋賀県出身ですが、
名古屋の塚本洋子先生のクラスにも通っていて、唯さんは
小さい頃から飛び抜けて上手かった。
その頃から知っているので、いっしょに組める日が来たんだ!
と感慨深かったです。
― 唯さんのすごさとは?
本当にすごい人って、綺麗に上手に踊れるだけじゃない。
引っ張ってくれるというか、相手の空気感とかすぐつかんでくれて、
スッと役に入り込める。いっしょに会話を交わしている感覚。
― 2022年12月の谷桃子バレエ団『 レ・ミゼラブル』で
主演された、ジャン・バルジャンは、本当に圧巻でした。
リハーサルのときから役に入り込めていたので、
その期間ずっと楽しかった。この世界に再び入れたのは嬉しかったです。
初演のときに観てくれたお客様から「すごく良かった!」という
声をいただいて、また12年ぶりに再演できることになって、
年齢を経てからの演技も楽しかった。
ちゃんと演じられた、という実感が持てました。
― 前回のインタビューで、ターニングポイントとなった舞台は
2005年の谷桃子バレエ団『ジゼル』とおっしゃっていました。
20歳のときで、主演デビューでした。
全幕を踊ったことはありましたが、王子の演技は分からないし、
腕を伸ばすだけでNGが出て、どうすればいいの?って(笑)。
それまで、バレエはテクニックがすべてと思っていました。
僕にとって、ピルエットを何回転できるかの世界だった。
でも『ジゼル』を踊って、これがバレエなんだと。
演技って面白い!バレエの面白さにハマってしまいました。
― その前に、10代でバレエ留学されていますよね?
中学2年の14歳のときです。先生に勧められて、
英国ロイヤル・バレエ・スクールのサマープログラムに
参加しました。先生も同行するはずだったのに都合が
つかなくなり、僕ひとりで行くことに(笑)。
電車には一人でなんとか乗れましたが、
そこからもかなり距離があって。どうやってたどり着けるのか
途方にくれて、地図を手に大泣きしていました。
そのとき親切な方が声をかけてくれて、その人の車で目的地まで
連れて行ってくれました。いい人で本当に良かった(笑)。
― 15歳でいきなり単身留学は心細いと思います。
同じクラスの先輩の江上悠さんに、すごく助けられました。
一年目はスカラシップをいただきスクールで学び、
2年目にカンパニーからアプレンティス(研修生)をいただき
カンパニーの舞台に数多く出演させていただきました。
3年目にバレエ団に入れるかもしれない。
でもダメだったので帰国を決意しました。
― そもそもバレエをはじめたきっかけはなんでしょう?
滋賀県の出井幹子バレエ教室で、妹が最初に習っていて、
その発表会を真剣に観ていたり、妹といっしょにバレエの
ビデオを見てる姿を見て母親にすすめられた。
― 続けられた理由はなんでしょうか?
周囲のみんなが応援してくれたから。
幹子先生はレッスン料を受け取らなかったんです。
私は男の子を教えられないからと。
学校の先生も個別で英語を教えてくれたりして、
周り人に恵まれました。
自分のために踊るというよりは、応援してくれる人たちが
いたからそれに応えたかった。その気持ちが強かったです。
―ご両親はいかがでしたか?
母親はもともと舞台が好きだったんですが、
父親は最初反対していました。
でも、17歳ぐらいからコンクールで賞を取れるように
なって、応援してくれるようになりました。
― 踊りへのモチベーションはどう保っていますか?
負けず嫌いなので。同世代には誰にも負けたくない(笑)。
― ダンサーで良かったと感じるときは、どんなときですか?
カーテンコールですね。やはり観てくれるお客様がいるから
こそなので。
― ロックバレエの再演を、とても楽しみにしているという
お客様の声もすでに多くいただいています!
リハーサルはまだ3回目ですが、圭吾さんの振付で
踊ってみていかがですか?
ひと言で言うと、楽しい!
「やりづらいところがあったら言ってください」って
言ってくれましたけど、圭吾さんが考えた振付が、
やりづらいわけがないんです。
本当にやりたいことをやってほしい。
すごくいいものができるはずだし、僕はやりたいから。
振付家の世界観をちゃんと表現したいと思っています。
ロックバレエ2023『ROCK BALLET with QUEEN』
2023年5月17日(水)なかのゼロ大ホール
Commentaires