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振付家・竹内春美インタビュー!大和シティー・バレエ冬季公演『宗達』




振付家・竹内春美インタビュー!大和シティー・バレエ冬季公演『宗達』 2023年より大和シティー・ダンス(YCD) ディレクター/常任振付家に 就任した振付家・ダンサーの竹内春美。ドイツのレーゲンスブルク劇場 ダンスカンパニーでソリストとして活躍後、2019年から日本に拠点を移す。 2023年8月に『ジゼル』の振付作品を発表し、この12月には新作『宗達』の 全幕公演の振付を再び担う。




― 柳広司氏の小説「風神雷神」上下巻をベースにしているということですが、 振付家として、もっともチャレンジングだと感じている点はどんなところでしょうか?

すべてですね(笑)。和ものである、幕ものである、ということが初挑戦となりますし、 セリフのやり取りはじめ小説として面白い「風神雷神」をどう踊りで表現するか。 絵師や絵の話なのに、絵そのものも見せません。 すべてがチャレンジです!

― バレエ公演『宗達』はどのようなストーリーになるのでしょうか?

誰もが一度は観たことがあるであろう′風神雷神′の作者、俵屋宗達の成長物語になります。扇屋のぼんくらが、導かれるように人生を歩み、世界を驚かす屏風絵を描くまで。

小説の中で特に魅力的だった、宗達、宗達の幼馴染、女性たち、出会うメンター、が本公演でフォーカスを浴び舞えるよう、脚本の扇田拓也さんに書き下ろしていただきました。 宗達をはじめとする主要キャラクターたちの魅力と心情を、宗達が産み出す作品の世界観とともに、音楽性あふれる身体表現で紡ぐべく創作を進めています。

― 「宗達」を取り上げることになった経緯を教えてください。

大和シティー・バレエのプロデューサーである佐々木三夏さんが、この本に出合って心奪われたことがきっかけです。 俵屋宗達は、じつは何も資料が残っていない謎が多い人物なんです。 作家の柳さんが、足かけ3年、ほかの仕事をすべて断って執筆に専念し心血注いで書き上げた作品だそうです。 歴史的時代背景からの考察や想像を織り交ぜながらのフィクションになっていますが、 架空の人物たちもとても魅力的で、どのようにして鬼の絵を描くに至ったかがとても面白く 描かれています。

― 配役についても教えてください。


宗達を中川賢さん、出雲阿国に本島美和さん、最初のメンターとなる本阿弥光悦に能楽師辰巳満次郎先生、次のメンター烏丸光広に高岸直樹さん、 宗達の親友・与一に櫛田祥光さん、宗二に林田海里さんなど、キャストは近日カンパニーから発表予定です。

― リハーサルの状況はいかがですか?

今は、パズルのピースを創るように、いくつものシーンを並行してクリエーションしています。脚本あっての創作なので、脚本を読み込み、原作にも立ち戻ってヒントを探しながら、この世界を舞踊で解釈するとどうなるのだろう、と取り組んでいます。小説のキャラクターが、小説を飛び出して、しかも踊る。舞台で。 私自身が、「そんなものが観れるものなら観てみたい」、そう思って挑んでいます。


主演のゲストダンサーたちとリハーサルしていて、彼らが私のその意向をもっとも汲んでくれるアーティストたちだということに心沸き立ちました。「この人物だったらどう動くだろう?」「どう反応するだろう」「どういう踊りをするだろう」言わずもがな、役そのものとしてその場に存在し、一緒に動きを探してくれ、既に役と役が踊りでやりとりしているようです。彼らが非常にクリエイティブである今回、とても手ごたえがあります。

― 音楽についてはいかがでしょうか?

既存の曲も使いつつ、一部オリジナル楽曲で和太鼓の小林太郎さんに作曲していただきます。 小林さんはじめ、奏者たちに出演もしていただき、オリジナル楽曲に関しては生演奏でお送りします。 いまデモテープが上がってきた段階。早速触発されています。 ですが和太鼓のリズムは普段の5倍か10倍ぐらいは聴きこまないと置いていかれそう(笑)。拮抗できる振りを創りたいです!

― オリジナル楽曲ということで、振付家目線でのリクエストなどはされたのでしょうか?

脚本からのイメージを共有したり、既存の音楽とのバランスをみて、都度相談させていただいています。

私は通常は音楽があって振付に入ることが多いのですが、動きを先に作り、あてがきのように音楽を作っていただいたシーンもあって、素敵な経験をさせていただいています。

― 演出も竹内さんが担うのでしょうか?

佐々木三夏先生と二人三脚で進めています。 自分だけではなく、チームで挑むことは、私自身の幅を広げる機会と捉えています。 宗達は扇絵の職人だったので、扇を使っての演出も何かしたい、など小さい例ですが、日々お互いから出てくるアイディアに向き合っています。

― オリジナルの新作なので衣裳も楽しみです。


私もものすごく楽しみです。衣裳デザインはさとうみち代さんと佐々木先生になります。 佐々木先生はこれまでの作品をほとんど手掛けていらっしゃいます。今回はもちろん和の衣装です。

― 俵屋宗達の話に戻りますが、宗達が「誰のためになぜ風神雷神を描いたか?」が 最大の謎と言われています。その点については触れるのでしょうか?

原作でもクライマックスの部分ですね。 まだまだクリエーション最中、そのシーンへどう辿り着くのか、楽しみにしながら創っていこうと思います。 私たちが小説で味わった原作の余韻を、お客様にも味わっていただきたい、とは思っています。

― 最後に、見どころをお願いします!

クリエイティブなダンサーたちと共に、これからどれだけ膨らませてゆけるんだろうと、今から楽しみです。彼らの生む熱量と波動、生演奏とともに……それはそれは特別な空間になると思います。 私は大和シティー・バレエに3年前から振付に携わっていて、今回で7作品目になります。ダンサーたちと多くの時間を共有しているので、お互いの理解が深まっていることも強みに感じます。 見逃してほしくない公演です!


大和シティー・バレエ『宗達』

2023年12月24日(日)シリウス芸術文化ホール メインホール



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