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遠藤康行のインタビューをお届け!『オルガン avec バレエ』



 神奈川県民ホールのパイプオルガン・アドバイザーの中田恵子が初めてバレエダンサーたちとの共演を果たす

『オルガン avec バレエ』。ゲストダンサーに新国立劇場バレエ団プリンシパルの渡邊峻郁を迎え、遠藤康行が

育てたジュニアダンサーたちとともに、中田恵子の生演奏でお届けする新企画。

 リハーサル真っ只の中、演出・振付の遠藤康行がインタビューに応じてくれた。


- 演奏家・中田恵子さんとは初共演になりますが、どのような印象ですか?

 

 この企画をきっかけに出会うことのできた中田さんとは共通点があって、それはお互いにフランスに刺激を受けて創作をしてきたということです。

 中田さんはパリで、僕はマルセイユで長く生活し、クリエーションをしてきましたから、考え方に共感できるところがあります。フランクで、言いたいことはきっちり言う、休めるときには休みをしっかりとる、そして何より人間が大事。

 おそらく僕たちはそういうフランスのスタイルに影響を受けたのだと思います。だから親しみを感じます。中田さんのオルガンと音楽へのこだわり、素晴らしいプログラミングが自分にインスピレーションを与えてくれます。

 僕も長く音楽とともに踊りに取り組んできましたが、オルガンのみの生演奏で、しかもパイプオルガンの目の前で踊るダンサーたちを振り付けるのは初めてです。中田さんが演奏者としてパイプオルガンを奏でるのに応えて、僕もダンサーたちの踊りを通じてあの空気の振動や圧力、音楽を視覚的な表現に変えていきたいと考えています。


-ゲストダンサーの渡邊峻郁さんについてはいかがですか?

 

 モナコで僕が小池ミモザさんと立ち上げたJAPON dance project が2018年に新国立劇場で公演したとき、出演してくれたのが峻郁くんでした。そのときがはじめての出会いです。以来、クラシックもコンテンポラリーも見事に踊る彼をすっかり信頼して、僕が創作に挑むときには声をかけ続けてきています。

 

 2021年に都民芸術フェスティバルで振付た『眠れる森の美女』も、木村優里さんのオーロラ姫と渡邊峻郁くんのデジレ王子でした。峻郁くんが創作に臨むときの姿勢は素晴らしく、練習を見ていても安心感があります。

 何より、こちらが出したアイディアにトライしながら、踊り手として自分の意見も出してくれる。主体性を持って、これこそクリエーション、という作業に付き合ってくれます。

 それには、トゥールーズ・キャピタル・バレエでメインを踊っていた影響もあると思います。中田さんはパリ、僕はマルセイユ、峻郁くんはトゥールーズ、というフランスのマインドによるチームです。


-『オルガン avec バレエ』は、どのような作品になりそうでしょうか?


 ストーリーを持たせすぎず、でも、観る人がいくつもの音楽、踊りを体験するなかで個人個人のストーリーを自由に組み上げるようにリードするのがポイントです。

 全体に、中田さんが音楽を、遠藤ゆまさんが舞踊を象徴して対になりながら進行していきます。その中で、第一部はアブストラクト(抽象的、観念的)なオムニバス作品が続きます。

 中田さんが組んでくださったプログラムによる人類と音楽の歴史が進行していきます。休憩を挟んだ第二部はペルソナージュ、個の内面を表現するのを重視しています。また、一つ一つのシーンのなかに女性と男性が対になるようにもクリエーションしています。このプログラムによる音楽のバラエティはとても豊かです。

 お客様を一つのストーリーで縛りすぎず、でも「あれっ?」という伏線やつながりをそれぞれのパートに仕込んでおきますので、一人ひとりの物語をつむいで頂けたらと思います。

 

-新企画の意気込みについてぜひ!

 

 中田さんが奏でるパイプオルガンの響き、音楽を、ダンサーたちの動きとビジュアルで表現していくのが目標です。あの空気の震えとバイブレーションを大切に踊りのなかに落とし込み、ダンサーたちを奏でるように振付られたらと思っています。期待していてください!


『オルガン avec バレエ』

2024年2月10日(神奈川神奈川神奈川県民ホール小ホール

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