5月11日に都内のホールにて、池上直子の脚本・演出・振付・美術の新作『Eden』の公開リハーサルが行われた。完全オリジナルの脚本で、9人のダンサーで構成。
~ 謎の全寮制教育機関「エデン学園」。
ある日、優等生の〈タイキ〉の妹〈マイ〉が突然の事故で亡くなってしまう。その瞬間を、人の目には見えない存在である〈kimagure〉が静かに見守っていた。〈kimagure〉の気まぐれで、タイムリープが始まり、〈タイキ〉は妹の死を回避するチャンスを得る。しかし、時間を跳躍することは、「エデン学園」の人々の人生にも変化をもたらすことになり・・・果たして、〈タイキ〉は過去にリープして妹を救うことができるのか?~
主演の兄タイキに、渡邊峻郁(新国立劇場バレエ団プリンシパル)と妹のマイに鳥羽絢美、タイキの恋人に木村優里(新国立劇場バレエ団プリンシパル)が配役。
事故で死んでしまう運命の妹マイを救うため、兄のタイキは何度も過去に戻ってタイムリープを繰り返す展開となっている。しかし、タイムリープの存在を知っているのは、気まぐれに時間を戻したKimagureとタイキのみ。そのことによって周囲の人間関係にも変化が訪れる。
公開リハーサル・シーンは3回目のタイムリープの設定で、8人のトレーニング・シーンからはじまった。先生役である元新国立劇場バレエ団プリンシパルの八幡顕光の主導で展開されるシーンを繰り返し行った。池上が、ダンサーの立ち位置やニュアンスを、 それぞれに声をかけて確認してゆく。
公開リハーサルのあと、司会:森奈穂美(ライター・評論家)の立ち会いのもと質問コーナーが設けられた。
森「本番まであと10日ぐらいですが、作品についていかがですか?」
渡邊「妹マイを救うために、過去を変えるために奮闘していく必死にもがいていく。時間の経過とともに心の変化を見せていけたらいいなと思います」
木村「直子先生の作品は3回目の出演になります。今回はまったくのオリジナルの脚本ですが、設定が面白い。
人間が介入できないものに向かって、どうみんなが立ち向かっていくのか。自分の中でその答えが見つかったらいいなと思います」
八幡「先生の役柄ははじめてですね。先生ですが内心はみんなについていくのが必死(笑)。本番に向けてブラッシュアップしてゆきたい」
森「学園SFという変わったストーリーですが、アイディアはのように生まれたのでしょう?」
池上「最後のシーンが決まっていたんですが、規律のある組織を作りたくて、学園ものになりました。恋愛のドロドロしたのもいいんですが(笑)、面白いものが観たい。楽しい感じでいきたい。タイムリープをすることによって作品がどう変化するかを試してみたいと思いました」
森「ダンスでタイムリープを経験するのはあまりないですね」
渡邊「僕だけが記憶を維持したまま動くので面白いと思います。Kimagureはタイキだけには見えていない設定なので、内心苛立ちを感じながら、心がザワザワさせられる感じです」
木村「何度も同じシーンが繰り返される演出なので、これは何回目のタイムリープだっけ?という確認が大変でした(笑)。フィナーレのシーンがすごく楽しみで、自分のアイデンティティや価値観の先に何があるのか、答えがどこに見つかったのかを含めて楽しみにしたい」
森「クリエイションはどのように進められていますか?」
池上「すべてを音で決めたりはせず、感情から動きをつくっています。『このシーンはどんな気持ち?』とダンサーの意見を結構聞いて進めていっています。本番まであと10日少しですが、このメンバーだからこそできた作品です。物語もそうですが、ダンサーの空気感やエネルギーを感じていただけたらと思います」
〈脚本/演出/振付/美術〉
池上直子
〈出演〉
渡邊峻郁(新国立劇場バレエ団)
木村優里(新国立劇場バレエ団)
八幡顕光
大上のの
湯淺愛美
鳥羽絢美
南帆乃佳
須﨑汐理
高橋慈生
Dance Marche Dance Performance vol.11『Eden』
2024年5月23日(木)渋谷区文化総合センター大和田さくらホール
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