top of page

森優貴の最新インタビュー!新作『Petite Maison/小さな家』K-BALLET Opto「プティ・コレクション」



 K バレエ カンパニーが3人の振付家を招き、KAAT神奈川芸術劇場ホールにて開催されるK-BALLET Opto「プティ・コレクション」。アジア初演となるメディ・ワレルスキー振付の『Petite Ceremonie/小さな儀式』、森優貴の新作『Petite Maison/小さな家』』、そして渡辺レイ新作の『Petit Barroco/小さな真珠』の3作品。


 9月30日(金)からの開幕を前に、森優貴が新作『小さな家』の創作過程について語ってくれた。


― ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」を選ばれたのはなぜでしょうか?


 今回の企画は、異なる3作品を並べた、いわゆる短編集であり、独自の世界観が完結した3人の異なる振付家のエッセンスの一部を抽出されることが重要だと思っています。


 そこで、音楽的にもひとつの作品の中で曲尺が短いものを並べるのでなく、ひとつの世界観が完結しているもの、尚且つ多様な響きがあり、自分自身が想像力を掻き立てるもの。

 さらに、搾り出さずとも曲を聴き目をつぶった段階で、描きたい舞台上での構想が鮮明に見えるもの。

 そして誰もが耳にしたことがある旋律。そこで辿り着いたのが、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」でした。

― タイトル『Petite Maison/小さな家』に込めた思いは?


「分断」を寓意的に、チャーミングに、滑稽に、ポエティックに。

曲を聴いた瞬時に、頭に浮かんだテーマですが、歴史的にみても人類は宗教と思想、格差、また、文化と価値観違いを利用し「分断」を繰り返し争い合い歴史を紡いできました。


 そして現在、日常で、より強くより濃く認識し、意識するようになったこの「分断」。

空間的分断も精神的分断も、常に内側と外側で自らの役目を演じ、そして真逆にも自らを放り出し、安らぎを求めています。

 誰もが持っていてほしい、ただありのままの自分を受け入れてくれる、小さくても飾らずに済む場所。

 その象徴が、『小さな家』ではないかと思っています。今まだリハーサル中なので、これからの進行によって思いも考えにも変化があるかも分かりませんが。


― 今回はじめてKバレエダンサーに振り付けされますが、どんなところにコンテンポラリーダンスの面白さを感じていますか?


 まず、「コンテンポラリーダンス」という言葉を、僕の中で他のものと区別するために後付けされた言葉として捉えてしまうのですが、僕自身は自身の作法があり、作風があり、癖もあり。すべてを踏まえて“森優貴の作品”と捉えています。


 そして今回、Kバレエ カンパニーのダンサーたちと新作に取り組むということで、そこにも振付家として今回持つべき一種の役目も存在します。

 その役目というのは、新作に関わるほかの団体、ダンサーの間にも生まれる当然のものです。

 今回共に創作する出演者が持つ、彼らの技術力と表現力を無駄にせず、まだ秘める可能性を引き出していければという思いで連日リハーサルしています。


 熊川哲也芸術監督が、これまでに既存の古典作品も、オリジナル作品も含め、新演出/新振付を継続されている国内唯一無二のカンパニーで、今回「K-BALLET Opto」という形での新しい試みでの旗揚げ公演になります。

 観てくださるお客様にも3作品を通して、舞踊表現の多様性を楽しんでいただけるよう出演者と共に作品を産み育てていければと思っています。


K-BALLET Opto「プティ・コレクション」─プティ・プティ・プティ!

2022年9月30日(金)~10月1日(土) KAAT神奈川芸術劇場 ホール


bottom of page